Overview
温室効果ガス
次に、温室効果ガス排出量の算定方法を見ていきましょう。 始めに、温室効果ガスについて説明します。
温室効果ガス(GHG)とは、 大気中に熱を閉じ込めるガスのことです。 GHGプロトコルでは、UNFCCCと京都議定書が対象とする7つの温室効果ガスの算定と報告を扱います。
以下の表に、7つの温室効果ガスとその発生源に関する情報をまとめています。
すべてのGHGインベントリには、少なくとも二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素が含まれます。なぜならこれらは燃焼の副産物であり、すべての組織は何らかのエネルギーを使用しているからです。
その他のガスの有無や割合は、産業やセクターによって異なります。
地球温暖化係数
すべての温室効果ガスが、同じ地球温暖化効果を持っているわけではありません。
熱を閉じ込める効果は、温室効果ガスの種類によって異なります。つまり、地球を暖める効果が他の温室効果ガスより高いガスがあるのです。
これらのガスを一貫性をもって測定・比較するためには、各ガスが持つ「熱を閉じ込める効果」を共通の単位に換算する必要があります。 この換算には地球温暖化係数を使用します。
地球温暖化係数セット (GWP)
GWPとは、二酸化炭素1単位と比較して、ある温室効果ガス1単位が熱を閉じ込める効果をどれだけ持っているかを示す係数です。
以下の表に、各温室効果ガスのGWPを示します。 二酸化炭素は、他のガスのベンチマークとして使用されるため、GWP値は1となります。
GHGプロトコルでは、すべての温室効果ガス排出量を二酸化炭素換算値(CO2e)で報告することが義務付けられています。 この換算を行うには、温室効果ガスにGWP値(IPCCが提供)を適用します。 GHGプロトコルでは、GWPは100年の時間枠で計算された値でなければならないと規定されています。
例を見てみましょう。
以下の表では、各温室効果ガスの排出量を10kgとして計算しています。 どの温室効果ガスも元々の排出量は同じであるにもかかわらず、二酸化炭素換算後(CO2e)の排出量には大きな差があることに注目してください。
これは、一部のガスが他のガスに比べ、著しく強い温室効果を持っていることを示しています。
10 kgの二酸化炭素(CO2)は、換算すると10 kg CO2eになります。
10 kgの六フッ化硫黄(SF6)は、換算すると228,000 kg CO2eになります。
GWP値を用いると、六フッ化硫黄は二酸化炭素の22,800倍も環境に有害であることがわかります。