Overview
概要
GHGプロトコルは、企業やその他の組織が温室効果ガス排出量を特定・定量化・報告する際に使用するステップ・バイ・ステップの指針です。
成り立ち
GHGプロトコルは、世界資源研究所と持続可能な開発のための世界経済人会議の共同イニシアティブによって開発されました。2001年にはコーポレートスタンダードの第一版が公開されました。
共通の基準を定めることで、報告された情報の一貫性・透明性・理解のしやすさを向上させ、長期的な進捗状況を容易に管理・比較できるようにしています。
世界資源研究所(WRI)
WRIは、国際的な非営利組織です。政府、企業、市民社会のリーダーたちとの協力を通じ、人々の生活改善と自然の繁栄を両立させる現実的な解決策を研究・設計・実行しています。 WRIは、食料、森林、水、海洋、都市、エネルギー、気候という7つの緊急課題に重点的に取り組んでいます。 WRIの使命は「地球環境を保護しつつも、現代・将来世代のニーズと希望を満たすことができるように、人間社会の生活様式を変容させること」です。
持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)
WBCSDは、「ネットゼロ、ネイチャーポジティブ、より公平な未来の実現に必要なシステム変革を加速させるために、200を超える世界の大手サステナブル企業が協力している、CEO主導の権威ある国際的コミュニティ」です。 WBCSDは1995年以来、バリューチェーン全体に広がるメンバー企業と協力し、最も困難なサステナビリティ課題に対して影響力のあるビジネスソリューションを提供してきました。
目的
GHGプロトコルは、以下のような目的で開発されました。
- 定量化:企業がGHG排出量を定量化し、GHGインベントリを作成する際の手引きを示すため
- 簡素化:GHGインベントリの作成を簡素化し、コストを削減できるようにするため
- 戦略策定:GHG排出量を管理・削減するための戦略の策定に役立つ情報を企業に提供するため
- 一貫性と透明性:GHG排出量の算定・報告の一貫性と透明性を向上させるため
- 報告:自主的・強制的なGHGプログラムへの参加を促進する情報を企業に提供するため
GHGプロトコルの5つの原則
財務会計と同様、GHG排出量の算定・報告は、一連の原則に基づいて行われます。 GHGプロトコルは、GHG排出量の算定・報告を行う際に従うべき5つの原則を定めています。
関連性
組織のGHG報告を「妥当性」のあるものとするためには、組織内外の情報利用者が意思決定の際に必要とする情報を報告に含める必要があります。
完全性
包括的かつ意味のあるインベントリを作成するためには、設定したインベントリ境界内の該当する排出源をすべて考慮に入れる必要があります。 具体的な除外項目がある場合は、それを開示し、理由を説明しなければなりません。
一貫性
GHG排出量の経年比較や事業間比較を正しく行うには、算定・報告アプローチ、インベントリ境界、算定方式を一貫性をもって適用することが重要です。
透明性
情報は、社内外のステークホルダーがその信頼性を確信できるような形で記録・分析されなければなりません。 「透明性」のある報告書を読めば、報告企業にとっての課題が明確にわかり、企業のパフォーマンスを適切に評価することができます。
正確性
情報利用者が、報告された情報は信頼できるという安心感をもって意思決定を行えるよう、全体を代表するデータを使用しなければなりません。
5つの原則の主な役割は、基準の適用が曖昧な場合でも、GHGプロトコルに基づいた算定・報告が行えるような指針を示すことです。
5つの原則を守ることで、企業のGHG排出量を公正かつ正確に表したGHGインベントリを作成することが可能になります。