Overview
気候変動とビジネスの掛け算
企業の活動は、最大の温室効果ガス排出源のひとつである一方で、排出量の削減に大きな貢献を果たすこともできます。 企業は、気候変動による影響の防止、適応、緩和に向けた革新的なソリューションを生み出しています。 こうしたソリューションは、人々と地球の両方に恩恵をもたらす可能性を秘めています。
リスク
企業は、気候変動が自社のビジネスに財務的なリスクと機会をもたらすことを認識しています。リスクには主に、物理的リスクと移行リスクがあります。
物理的リスク
物理的リスクとは、気候変動によって生じる経済的コストや財務的影響を指します。例えば、異常気象の増加や深刻な気候の変化、その他の気候変動による間接的影響があります。
物理的リスクは2種類に分けられます:
- 急性:急性の物理的リスクとは、暴風雨や洪水による不動産、インフラ、土地の破壊など、特定のひとつの事象によって起こるリスクのことです。
- 慢性:慢性的な物理的リスクとは、海面上昇や平均気温の上昇など、気候の長期的な変化によって生じる継続的なリスクのことです。
移行リスク
移行リスクとは、化石燃料依存型の経済から低炭素経済に移行する過程で生じるリスクです。例えば、気候政策の転換、一部産業に対する規制の変更、消費者や投資家からの要求の変化などがあります。
移行リスクは4種類に分けられます:
- 政策と法律:温室効果ガス排出量や、企業の持続可能な事業活動をめぐる規制が増えています。 企業は、事業活動や環境負荷をめぐる訴訟リスクにさらされる可能性があります。
- テクノロジー:現行の製品やサービスを低炭素型のものに置き換えることに伴うリスクです。 最新テクノロジーへの投資も、ここに含まれます。
- 市場:消費者の行動は、より環境にやさしい製品やサービスを求める方向に変化しています。 企業がこうした需要に応えようとすれば、環境に優しい代替品や原材料の仕入れコストが増える可能性があります。
- 評判:温室効果ガス排出量が特に多いことで知られる業界(石油業界や採掘業界)は、消費者、利害関係者、従業員の価値観の変化を受け、厳しい批判や監視の目にさらされる可能性があります。
グリーンウォッシング
変化をもたらすには、企業や政府だけでなく、個人の行動も重要です。 責任ある消費者がまず注意しなければならないのは、グリーンウォッシングです。
グリーンウォッシングとは?
グリーンウォッシングとは、企業が、環境に配慮した製品であると誤解させるような情報を伝えるマーケティング戦術です。 意図的な場合もあれば、意図していない場合もあります。気づかないうちにグリーンウォッシングをしてしまっている企業もあります。
ウィル・ケントン、 「グリーンウォッシングとは何か?その仕組み、事例、統計」 Investopedia、 2022年10月18日
例:
ある靴メーカーが、新発売した靴について「リサイクル素材の割合を50%増やしました」と宣伝したとします。 しかし、メーカーはリサイクル素材の割合を2%から3%に増やしただけです。 確かにメーカーの主張は事実かもしれませんが、リサイクル素材の使用量を大幅に増やしたという誤った印象を与えます。
別の例:
リサイクル可能なパッケージを使用することで「環境にやさしい」ブランドをうたっている企業が、一方では、製造過程で使用する水の量を増やしているといった例もあります。
Final Thoughts
気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また 1950 年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである。 大気と海洋は温暖化し、雪氷の量は減少し、海面水位は上昇している。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
あなたにできることは?
行動を起こす。現在、働いている業界で、自分が影響を受けるかもしれない気候リスクはどのようなものか、そしてそのリスクは自社にどのような影響を及ぼす可能性があるか、考えてみてください。
テクノロジー
GHG排出量を算定するための最先端ツールとして、パーセフォニのようなソフトウェアプラットフォームが開発されています。 企業の排出量を簡単にベンチマークできるため、企業間、地域間、セクター間で比較することが可能です。
パーセフォニでは、パリ協定の目標に沿った削減コミットメントのモデル化も支援しています。
おつかれさまでした!
気候変動に関する最初のモジュールを修了しました。 この続きは、「GHG排出量の算定・報告」のモジュールをご覧ください!