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カーボンオフセットと炭素会計ソフトを一緒に取り扱うリスクについて

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Article Overview

GHG排出量の算定・報告・見える化サービスを提供する企業は、カーボンクレジットの売買で利益をあげるべきではない、というのがパーセフォニの考えです。そもそも、その2つは、利益相反が発生する関係にあるからです。

本記事では、この件に関するパーセフォニの公式見解をお伝えします。

パーセフォニは設立当初から、カーボンクレジット市場(オフセットも含む)に関して、2つの基本的な信念を持っていました:

  1. 信頼できる組織によって検証された炭素クレジットは、気候変動の緩和に貢献することができる。よって、代替の緩和策(削減策)が難しい状況に限って、このソリューションの広がりを支援する。
  2. GHG排出量の算定・報告・見える化サービスを提供する企業が、営利目的でカーボンクレジットの売買を行うことは、利益相反である。

パーセフォニのコア・ミッションは、組織が規制および投資家の基準を満たす気候データを算定・報告し、最終的にGHG排出量の削減までを支援することです。私たちは、ファイナンスト・エミッション(投融資先の排出量)の算定・管理を含む包括的な炭素会計のプロセスを効率化・簡素化できる高性能のソフトウェアを通じてこのミッションを体現しています。私たちが提供するソフトウェアによって、企業・金融機関は、彼らの『GHGデータを、財務データと同じ正確さ・高い信頼性で管理できる』ようになりました。実のところ、それがパーセフォニ設立当時からのスローガンでもあったのです。

GHG排出量算定・報告ソフトは、財務会計ソフトと同様、信頼性と透明性が何よりも重要なのです。

GHG排出量の算定・報告・見える化サービスを提供する企業が、カーボンクレジットを営利目的で販売している場合、利益相反が発生します(一般的に、炭素会計ソフトの精度が高いほど、カーボンクレジット購入の必要性は低くなる)。例えば、粒度が低い汎用データ(例:支出額)だけを用いた炭素会計では、粒度の高いデータでの算定に比べて排出量が高く見積もられます。そうすとと、コスト削減のみが(会計上の)GHG排出量削減に繋がるため、それ以外の削減努力の成果を正確に測定することが難しくなります。その結果、排出量を管理・削減するためには、オフセット購入に頼る可能性が高くなるのです。より炭素強度の低い材料・素材を購入するなど、排出量削減のための努力の中には、コストが高くなり、その結果、排出量が高く見積もられてしまうという矛盾も存在します。

例を挙げると、ある高級衣料品ブランドが、高品質のオーガニックコットンを購入する時にサプライヤーにプレミアム価格を支払っているとしましょう。アパレル製造業の排出量を算定する際、支出に基づく排出係数は素材の種類を区別しません。 つまり、素材に関わりなく、アパレル製造業全体の購買額と全体の排出量をもとに排出係数が割り出されているのです。 結果、企業がより炭素排出量の少ない素材を調達するための努力をしたとしても、支出に基づく算定では、企業努力によって削減されたであろう排出量を把握することができません。 さらに、サプライヤーに支払う価格が低い他の企業と比較すると、同社の排出量は高く算定される傾向にあるため、脱炭素化戦略の一環として、より多くのカーボンクレジットを購入する必要があるケースも出てきます。

一方、世界が今後ネットゼロへ向かっていくプロセスにおいて、カーボンオフセットが重要な役割を担っていることは確かです。パーセフォニはパートナーとのネットワークを通じて、お客様からのカーボンクレジット利用リクエストに対応しています。 2021年、パートナーであるPatchと協力して、パーセフォニのウェブサイトに手数料無料のカーボンクレジット一覧を作成し、お客様にとって便利な仕組みを構築しました。ウェブサイトには、パーセフォニはいかなる取引からも利益を得ることはなく、単純にPatchへ紹介するだけであることを明記しました。

私たちは、お客様(潜在的なお客様も含む)から、パーセフォニという企業が持つ倫理観、厳密さ、透明性の高さを評価いただいています。そういったお客様からのありがたい声にさらに応えていくために、前述のカーボンクレジット無料紹介サイトもすべて撤廃することにいたしました。これは、より高精度なGHG排出量算定ソフトウェアをお客様へ届けるというパーセフォニの意思表示でもあります。

パーセフォニの意思表示とは裏腹に、炭素会計ソフトウェア業界では、カーボンクレジットを販売することが一般的になりつつあり、その部分から利益の大部分を得ている企業もあります。確かに、カーボンクレジットは気候変動産業において重要な役割を担っており、成長を続ける仕組みです。しかし歴史を振り返ると、 ビジネスモデルにこのような利益相反性を持つ企業が様々な問題に直面する可能性は決して低くありません。 このような問題は、単なる倫理的な問題である場合もありますが、ビジネス的な不正行為につながることもあるのです。

炭素会計ソフト事業者がオフセット事業に手をだすことの危うさは、簡単にいうと、買う部分と売る部分が混同してしまうことで、公正な市場が実現しにくくなる、ということです。今現状は問題が表面化していなくても、取引における何らかのインセンティブが設けられ始めると、将来的な問題発生は避けられないでしょう。

オフセット取引に限らず、より広くサステナビリティ業界を見渡してみると、売る側・買う側をちゃんと分ないことで、様々な問題が出てきているのは事実です。

パーセフォニの立場

進化し続けるカーボンオフセット市場において、取引のしやすさと同じくらい大切なのが、信頼と透明性の高さです。パーセフォニは、カーボンオフセット取引に関わらないという決断をしたわけですが、それは、会計士、監査役、投資銀行家、弁護士などの金融専門家が、顧客との取引を行う前にコンフリクトチェックを行い、売る側と買う側の両方の業務に携わることを避けるのと同じ理由です。コンフリクトのある取引というのは往々にして、利益を得る人だけが得をして、関係する他のすべてのステークホルダーに害を及ぼすからです。

誤解を生まないようにもう一度はっきりさせておくと、パーセフォニは、企業が幅広い脱炭素化計画の一環として、良質なカーボンクレジットに投資し続けること自体には賛成しています。ただし、カーボンクレジット取引の際には、リスクを避けるために、プロジェクト検証に特化したプロジェクトデベロッパーやブローカーに相談することをお勧めします。

もちろん、パーセフォニは、カーボンクレジット業界が成功することを望んでいますし、その分野が盛り上がることは、私たちのビジネスにも良い影響を及ぼすでしょう。 だからこそ、パーセフォニは、Patch社やCarbon Direct社のような、カーボンクレジットやオフセットの深い専門性を持つ素晴らしいパートナーを応援し続けます。彼らのビジネスに深い敬意を払っていますし、今後もその思いは変わらないでしょう。

あなたは今、GHG排出量の算定・報告・見える化サービスの導入を現在検討中でしょうか?もしそうなら、選択の際のヒントを差し上げたいと思います。それは、そのサービスがGHG排出量を削減していく過程で役立つ機能を有しているかどうかを確認することです。 さらに、サービスの導入には十分な情報収集が欠かせませんが、以下のような質問をベンダーに投げかけることも、適切な情報を得るのに役に立つでしょう;

  1. カーボンクレジットの販売で利益を得ていますか?その場合、潜在的な利益相反を避けるためにどのような工夫をしていますか?
  2. 自社の全体のGHG排出量の算定には、多岐にわたる算出方法が必要になりますがそれらは全て揃っていますか?また、排出量算定の後、排出削減努力を進捗管理できるシステムはありますか?
  3. 自社の排出量算定(データ)の精度を長期的に向上させていくために、どのようにサポートしてくれますか?GHGプロトコルが推奨するすべての算出方法を搭載していますか?

今回は記事として、カーボンクレジット・オフセットに関する弊社のスタンスを公表しました。パーセフォニが、透明性をとても大切にする企業だからこそ、皆様にお伝えしました。もしご不明点などございましたら、いつでもご連絡いただければ幸いです。

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