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GHG(温室効果ガス)とは?意味から算定・削減までわかる基本解説

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Article Overview

「GHGって何のこと? 削減が叫ばれているけど、正直よくわかっていない……」
このような素朴な疑問を抱えているところかもしれません。

GHGは温室効果ガスのことです。CO2をはじめとする、地球温暖化の主要因となるガスをGHGといいます。

近年、地球温暖化対策として、企業にGHG排出量の削減が強く求められています。しかし、GHGの基礎知識や算定方法、削減の進め方などは、まだ理解が進んでいないのが現状です。

本記事では、GHGとは何か、なぜ削減が重要なのかという基本から、排出量の算定方法や削減の考え方まで、企業担当者が知っておくべき情報を体系的に解説します。

この記事を読み終えれば、GHG削減の必要性や自社の取り組むべき具体的な施策が明確になります。さっそく見ていきましょう。

1. GHG(温室効果ガス)とは何か?

最初に、そもそもGHG(温室効果ガス)とは何か、基本事項から確認していきましょう。

  1. GHG(温室効果ガス)は地球温暖化の主要因となるガスのこと
  2. なぜGHGが増えると地球が温暖化するのか?
  3. GHGの種類と特徴
  4. 気候変動にGHGが与える影響(観測データと将来予測)

1-1. GHG(温室効果ガス)は地球温暖化の主要因となるガスのこと

GHGとは、「greenhouse gas(グリーンハウスガス)」の略語で、日本語では「温室効果ガス」です。

その名のとおり、地球に温室効果をもたらすガスを指します。具体的には、地表から放射された赤外線を吸収し、地球温暖化の原因となるガスのことを「GHG」と呼びます。

1-2. なぜGHGが増えると地球が温暖化するのか?

GHGが増えると地球が温暖化するメカニズムは以下のとおりです。

(1)太陽光が地球に届く:太陽から地球に光が届きます。

(2)地球表面が温められる:太陽光の一部は地球の表面に吸収され、地表を温めます。

(3)地球が熱を宇宙に放出する:温められた地球は、熱を赤外線として宇宙に放出します。

(4)GHGが赤外線を吸収する:大気中のGHGは、地球から放出された赤外線を吸収します。

(5)GHGが熱を再放出する:赤外線を吸収したGHGは、熱を地球方向に再放出します。

(6)地球が温室のように温まる:熱が地表に戻ってくると、地球全体の気温が上昇します。これが「温室効果」です。

つまり、GHGは地球から宇宙へ逃げるはずの熱を閉じ込めてしまうため、地球が温室のように温まってしまうのです。

1-3. GHGの種類と特徴

地球温暖化といえば「CO2」を思い浮かべる方が多いかもしれません。CO2もGHGの一種ですが、それ以外にも種類があります。ここで整理しておきましょう。

【主要なGHGの種類と特徴】

  • 二酸化炭素(CO2):化石燃料の燃焼や森林伐採などにより発生します。GHG排出量の中で最も高い割合を占めており、削減の主要ターゲットとなっています。
  • メタン(CH4):稲作や家畜の消化管内発酵(げっぷ)、廃棄物の埋め立てなどから発生します。CO2の約28倍の温室効果があるとされ、排出量削減が急務です。
  • 一酸化二窒素(N2O):農地や工業プロセスなどから発生します。CO2の約265倍の温室効果があるため、排出量が少なくても無視できない影響力を持っています。
  • ハイドロフルオロカーボン類(HFCs):エアコンや冷蔵庫の冷媒、断熱材、消火剤などに使用されます。オゾン層を破壊しないことから代替フロンとして導入されましたが、CO2の数百~数万倍の温室効果があります。
  • パーフルオロカーボン類(PFCs):半導体製造などの特殊な工業プロセスから発生します。CO2の数千~1万倍以上の温室効果を持ち、大気中での寿命も極めて長い特徴を持ちます。
  • 六フッ化硫黄(SF6):非常に強力な温室効果ガスで、CO2の約23,500倍の温室効果があります。電気設備の絶縁体や遮断器、マグネシウム合金の溶解などに使われます。
  • 三フッ化窒素(NF3):半導体や液晶ディスプレイの製造工程で使用されます。CO2の約16,100倍の温室効果があり、近年、排出量が増加しているガスです。

地球温暖化を食い止めるためには、さまざまなGHG排出源と影響度合いを正しく理解し、効果的な削減対策を講じていく必要があります。

参考:農林水産省「気候変動に対する農林水産省の取組」環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」

1-4. 気候変動にGHGが与える影響(観測データと将来予測)

GHGの増加が気候変動に深刻な影響を与えていることは、すでに多くの科学的データから明らかにされています。

【GHGによる気候変動の影響】

  • 平均気温の上昇:20世紀半ば以降の気温上昇のほとんどは、人為起源のGHG増加が原因とされています(IPCC第5次評価報告書)。IPCC第6次評価報告書では、21世紀末までに最大5.7℃上昇する可能性があると予測されています。
  • 海面水位の上昇:1901年〜2010年までの期間で海面水位は19cm上昇しており(IPCC第5次評価報告書)、IPCC第6次評価報告書では、今世紀中に最大1m以上上昇する可能性が指摘されています。島嶼国や沿岸域への影響は計り知れません。
  • 異常気象の増加:猛暑・豪雨・干ばつ・強い台風など、異常気象の頻度や強度が世界的に増しています。人的被害や経済的損失も拡大の一途をたどっています。
  • 生態系への影響:気温や降水パターンの変化により、多くの動植物種の生息域がシフトしたり、絶滅リスクが高まったりしています。人間社会への影響も深刻化しています。
  • 食料生産への打撃:気候変動は農作物の収量や品質にも大きな影響を及ぼします。干ばつや洪水の増加は、食料安全保障を脅かす深刻な問題となっています。

GHG排出を抜本的に削減しない限り、私たちはこうした負の影響に直面し続けることになります。将来世代のために、行動を起こさなければなりません。

参考:気象庁「IPCC第5次評価報告書(AR5)」環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル」環境省「平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」環境省「令和6年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」

2. GHG(温室効果ガス)を知るうえで押さえたい知識

GHG(温室効果ガス)について理解を深めていくうえで押さえたい知識として、「パリ協定」および「SBT」があります。以下で見ていきましょう。

1. パリ協定と世界各国のGHG削減目標

2. SBT=企業のGHG排出量削減目標

2-1. パリ協定と世界各国のGHG削減目標

近年の国際的なGHGへの取り組み強化と深い関係にあるのが、「パリ協定」です。

パリ協定は、2015年12月に採択された地球温暖化防止に関する国際条約です。

世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて、2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃:WB2℃)に抑制し、さらに1.5℃に抑える努力を追求することが合意されました。

この条約では、すべての国がGHGの削減目標を策定して国内措置を遂行し、5年ごとに同目標を提出することなどが定められています。以下は主要国の中期・長期目標です。

出典:環境省 地球環境局「国内外の最近の動向について(報告)2024年2月14日」

各国は削減目標を掲げていますが、その達成には企業や市民社会を含めた社会全体での取り組みが不可欠です。目標達成に向けた実効性のある施策の実施が強く求められています。

2-2. SBT=企業のGHG排出量削減目標

もう一点、パリ協定とあわせて覚えておきたいのが「SBT」です。

SBT(Science Based Targets:科学に基づいた目標)は、パリ協定が目標とする地球温暖化防止のために、企業の行動指針となるGHG排出量削減目標を指します。

具体的には、「世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑制し、さらに1.5℃に抑える」というパリ協定が求める水準に対して、中長期の目標を設定するものです。

出典:環境省「SBT(Science Based Targets)について」

企業における環境施策では、「SBTに取り組む」といった表現がよく使われます。これは企業がパリ協定水準に合わせたGHG排出量の削減に、科学的根拠(Science Based)に基づいた中長期の目標設定で取り組むことを指しています。

SBTが削減対象とする排出量は、GHGプロトコルの「スコープ1・2・3」という区分で定義されています。

出典:環境省「SBT(Science Based Targets)について」

以下では、より具体的にGHGの算定・削減に向けた取り組みについて、見ていきましょう。

3. GHG排出量の算定方法

企業がGHG排出量を適切に管理するための第一歩は、GHG排出量を算定することです。

まずは、どのようにGHG排出量を算定するのか、その方法を確認しましょう。

  1. GHGプロトコルとは?
  2. スコープ1・2・3とは?
  3. 実務では「GHG排出量算定ツール」の導入が最適解

3-1. GHGプロトコルとは?

GHG排出量の算定において重要なのが「GHGプロトコル」です。

GHGプロトコルは、企業が温室効果ガス(GHG)の排出量を計算し、報告するための国際的な基準です。

【GHGプロトコルの役割】

  • 正確な排出量の計算方法を提供:GHGプロトコルは、企業が自社の排出量を正確に計算できるよう、計算の仕方について詳しく説明しています。たとえば、燃料の燃焼による排出量の計算では、燃料の使用量に、その燃料に特有の排出係数を掛け合わせて算定します。GHGプロトコルでは、さまざまな燃料の排出係数が提供されています。
  • 企業の情報公開を後押し:GHGプロトコルに従って排出量を計算し、CDP(*1)などのプラットフォームを通じて情報を公表すれば、ほかの企業の情報とも比べやすくなります。
  • 排出削減の取り組みに役立てる:GHGプロトコルに基づいた排出量の算定を通じて、自社の排出量の現状を把握し、削減目標の設定や削減施策の効果検証が可能です。
  • ほかの情報開示ルールとの関係を示す:GHGプロトコルは、財務情報の開示ルールなど、ほかのルールとの関係性についても説明しています。

*1:CDPはイギリスを拠点とする国際環境NGOで、企業の環境情報開示と取り組みを評価するCDPスコアの公開を行っています。詳しくは「CDP スコアとは」の記事にてご確認ください。

参考:環境省「温室効果ガス(GHG)プロトコル〜事業者の排出量算定及び報告に関する標準〜<仮訳>」

3-2. スコープ1・2・3とは?

GHGプロトコルでは、企業のGHG排出量算定の対象範囲を、排出源の所有や管理の状況に応じて、3つのスコープに分類しています。

この分類は、企業がGHG排出量を効果的に管理し、削減につなげるうえで重要な概念となっています。

【3つのスコープの定義と具体例】

  • スコープ1(直接排出):企業が所有・管理する排出源から直接発生するGHG排出量を指します。具体例としては、工場での化石燃料の燃焼、業務用車両の運行、製造プロセスからの漏出などが挙げられます。
  • スコープ2(エネルギー起源の間接排出):企業が外部から購入した電力・熱の使用に伴うGHG排出量を指します。電力会社の発電所で発生した排出量など、企業の活動に必要なエネルギーの生成段階で発生した排出量が該当します。
  • スコープ3(その他の間接排出):スコープ1・2以外の、企業のバリューチェーン全体で発生するGHG排出量を指します。原材料の調達、製品の使用・廃棄など、企業活動に関連するあらゆる排出が含まれます。

スコープ1・2は、企業が直接的に管理可能な排出源からの排出量であるため、優先的な削減対象として位置づけられます。

一方、スコープ3は、企業単独では管理が難しい領域ですが、バリューチェーン全体の排出量に占める割合が最も大きいことが多いため、サプライヤーや顧客との連携を通じた削減の取り組みが重要となります。

参考:資源エネルギー庁「知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは」

3-3. 実務では「GHG排出量算定ツール」の導入が最適解

GHG排出量の算出は、Excelなどで行うことも可能ですが、おすすめはできません。手作業では多くの時間と労力を要し、ミスが発生する可能性も高まるからです。

具体的には、データ収集・排出係数の適用・排出量の計算・スコープ別の集計……と、複雑なプロセスを要します。そのうえ、計算に必要な排出係数などの数値は随時更新されるため、Excelで作成した計算式を修正しなければなりません。

そこで推奨されるのが、SaaSなどで提供される「GHG排出量算定ツール」の導入です。

当社「Persefoni(パーセフォニ)」は、GHG管理プラットフォームのリーディングカンパニーであり、GHG排出量算定ツールを無償でご提供しています。

GHG削減に向けて取り組みを検討されている企業の方は、まずは無料で手軽にGHG排出量の算定をスタートしてみることをおすすめします。詳しくは以下のリンクよりご確認ください。

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4. GHG(温室効果ガス)削減に向けた取り組みのポイント

SBTなどの野心的な目標を確実なものとするためには、社内の隅々にまで浸透させ、全従業員の主体的な行動につなげていく必要があります。

最後に、そのための取り組みとして、重要な4つのポイントをお伝えします。

  1. 全社的な推進体制の構築
  2. 効果的な削減施策の立案・実行
  3. 従業員の行動変容を促す啓発・研修
  4. 進捗のモニタリングとPDCAの実践

4-1. 全社的な推進体制の構築

1つめのポイントは「全社的な推進体制の構築」です。

GHG削減は一部の部署だけでなく、全社を挙げて取り組むべき経営課題です。トップのリーダーシップのもと、社内の推進体制を整備することが何より重要です。

【全社的な推進体制のポイント】

  • 経営層のコミットメント:経営者・CEOが陣頭指揮を執り、GHG削減を経営の最重要テーマに位置づけます。取締役会レベルでのガバナンス体制も強化し、トップダウンの推進力を担保します。
  • 専門部署の設置:GHG削減を主導する専門部署を設置し、全社の取り組みの統括・牽引役を担うようにします。各事業部門や関連部署との連携を緊密に行い、自立的なPDCAサイクルを回す原動力とします。
  • 削減目標の落とし込み:全社目標を事業部門や事業所レベルに落とし込み、それぞれの目標を明確に設定します。各部門の責任者は削減目標の達成に向けてコミットし、着実な進捗管理を実践します。
  • サプライチェーン全体での取り組み:自社の事業活動に留まらず、サプライヤーとの協働により、バリューチェーン全体でのGHG削減を追求します。調達部門が中心となり、協力企業との連携を強化します。

グループ全体と個々の事業のベクトルを合わせることが大切です。現場の隅々にまでGHG削減の意識と実践を浸透させ、真の意味での全社一丸の取り組みを目指します。

4-2. 効果的な削減施策の立案・実行

2つめのポイントは「効果的な削減施策の立案・実行」です。

GHGの削減目標を達成するには、自社の事業特性を踏まえた効果的な施策を立案・実行していくことが不可欠です。日々の事業活動の中に削減の種を見出し、芽を育てる着眼点が重要です。

【GHG削減施策の例】

  • 徹底した省エネルギーの追求:製造工程や業務プロセスの省エネ化を徹底的に進めます。設備の高効率化・運用の最適化・デジタル技術の活用など、多岐にわたる省エネ手法を組み合わせて削減効果を高めます。
  • 再生可能エネルギーの積極導入:太陽光・風力・バイオマスなどの再エネを積極的に導入します。自社設備の設置に加え、再エネ由来の電力調達を拡大し、エネルギー源の脱炭素化を加速します。
  • 低・脱炭素技術の開発と社会実装:CCUS(*2)やグリーン水素(*3)など、ゲームチェンジにつながる革新技術の研究開発を強化します。社外とも連携しながら、新技術の実用化と市場の創出を図ります。
  • 環境配慮型製品・サービスの展開:製品ライフサイクル全体でGHG排出量の少ない製品・サービスの開発と販売を推進します。消費者による製品の使用段階での排出量削減という観点も忘れずに取り組みます。

*2:CCUSとは、排出されたCO2を集めて地中に貯留したり、それを利用したりする技術です。事業化に向けた研究が進められています(参考:資源エネルギー庁「エネルギーの基礎用語~CO2を集めて埋て役立てる「CCUS」」)。

*3:グリーン水素とは、再生可能エネルギー(再エネ)などを使って、製造工程においてもCO2を排出せずにつくられた水素のことです(参考:資源エネルギー庁「次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?」)。

重要なのは、個々の施策の積み上げと継続です。小さな改善を地道に重ねることが、大きな削減成果につながります。各部門が創意工夫を凝らし、できることから着実に実行に移していきましょう。

4-3. 従業員の行動変容を促す啓発・研修

3つめのポイントは「従業員の行動変容を促す啓発・研修」です。

GHG削減の推進力は、一人ひとりの従業員の意識と行動に大きく依存しています。全社的な啓発・研修を通じて、従業員の自発的な行動変容を促していくことが極めて重要です。

【行動変容促進のための施策例】

  • 経営トップによる継続的なメッセージ発信:CEOが率先して従業員に語りかけ、脱炭素化の必要性と一人ひとりの行動変容への期待を発信し続けます。トップの熱意が社内の意識変革の原動力となります。
  • 体系的な教育プログラムの整備:気候変動問題の基礎知識から、各職場における実践的なGHG削減手法まで、体系的な教育プログラムを整備します。従業員の役割に応じた実効的な学びの場を提供します。
  • 優良事例の共有と横展開の促進:現場発の優れた削減事例を社内で共有し、組織内の好循環を生み出します。成功事例を生んだ部門や個人を表彰し、全社での横展開を後押しします。
  • 家庭での取り組みの喚起:社内の啓発のみならず、家庭でのエコな取り組みも喚起します。従業員参加型のキャンペーンなどを通じて、仕事と生活の両面からGHG削減の輪を広げていきます。

啓発と研修を積み重ね、一人ひとりが当事者意識を持ち、自ら率先して行動する企業風土を育んでいきましょう。

4-4. 進捗のモニタリングとPDCAの実践

4つめのポイントは「進捗のモニタリングとPDCAの実践」です。

GHG削減の目標達成は、息の長い取り組みです。進捗管理を的確に行いながら、PDCAを粘り強く回していくことが求められます。

想定外の障壁に直面することもあるでしょう。そうした難局をひとつひとつ乗り越えていくことが、ゴールへの着実な前進を支えます。

【進捗管理のポイント】

  • モニタリング指標の設計:GHG排出量の削減率に加え、主要施策の進捗率など、定量的なKPIを適切に設定します。目標達成に向けたプロセス管理の柱となるモニタリング指標を、部門ごとに設けます。
  • 実効的なデータ収集体制の整備:GHG排出量や関連する活動量データを、迅速かつ正確に収集する体制を整備します。前述の算出ツールの活用などにより、非効率な手作業を排し、精緻なデータ把握を目指します。
  • 経営会議などでの定期的な進捗報告:事業計画の進捗報告の場などを活用し、GHG削減目標の進捗状況を定期的に共有します。課題が生じた際には、早期に議論して対策を講じます。
  • 第三者検証の受審:客観的な視点から進捗を評価してもらうため、定期的に第三者検証を受審するのも一案です。PDCAを実効的に回すための外部の目として、積極的に活用しましょう。

GHG削減の遅れは、社会的な評判を失うリスクにもつながりかねません。

一筋縄ではいかない困難な道のりではありますが、モニタリングと軌道修正を繰り返し、一歩一歩着実に進んでいきましょう。

5. まとめ

本記事では「GHG(温室効果ガス)」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

最初に基礎知識として以下を解説しました。

  • GHGは地球温暖化の主要因となるガスの総称である
  • GHGには二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素などが含まれる
  • GHG排出量の増加は気候変動を引き起こし、深刻な影響をもたらしている

GHG排出量の算定方法の概要は以下のとおりです。

  • GHG排出量の算定には、GHGプロトコルという国際的な基準が用いられる
  • スコープ1・2は企業の直接的な排出、スコープ3はバリューチェーン全体の間接的な排出を指す
  • 実務では「GHG排出量算定ツール」を導入するのが望ましい

GHG削減に向けた社内の取り組みについて以下を解説しました。

  1. 全社的な推進体制の構築
  2. 効果的な削減施策の立案・実行
  3. 従業員の行動変容を促す啓発・研修
  4. 進捗のモニタリングとPDCAの実践

GHGの排出削減は、企業経営における最重要課題のひとつです。自社のGHG排出量を適切に把握し、バリューチェーン全体を巻き込んだ削減施策を着実に実行していくことが、脱炭素社会の実現に向けた企業の責務であり、持続的成長の鍵を握っています。

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