気候情報開示に伴う真のコスト
3月に米国証券取引委員会(SEC)が気候関連開示規則案を公表した際、パブリックコメントにて最初に指摘された課題の一つが、企業が要件案を満たすために必要なコストについてでした。SECは、初年度のコストを53万ドル(約7,700万円)程度と見積もっていますが、その金額をはるかに超えるという声も少なくありません。
この度、パーセフォニとCeresの委託を受け、サステナビリティ専門コンサルティング最大手のERM社がSustainAbility Institute by ERM(以下、総称して「ERM」)を通じて調査を実施しました。それにより、気候関連の財務情報の算定・管理・開示に組織が現在どれほどの額を費やしているのかが明らかになりました。この数値は、現在と過去のコスト水準を把握するための基準となるでしょう。一方で、より多くの組織が、算定・報告作業をマニュアル作業で行うことから脱却し、炭素会計ソフトを活用するようになれば、気候関連情報の開示に伴うコストはさらに低下することが見込まれます。
ERMの調査によると、報告企業が気候関連の情報開示業務に費やすコストは年平均53万3,000ドル(約7,700万円)、そして、機関投資家が投資判断の参考として気候関連データの収集・分析に費やすコストは年平均137万2,000ド(約1億9,000万円)となっています。なお、この調査結果は、39の報告企業と35の機関投資家から得られた回答に基づいています。
調査結果の詳細は、全文とファクトシート(要約版)をご覧ください。
GHG排出量算定・報告ソフトウェアで業務精度を上げてコストを下げる
金融庁やSEC(米国証券取引委員会)、その他規制当局からの気候関連情報の開示要件を遵守することは企業にとって少なくない経費となります。そのような経費・コストを数値化して管理している組織にとって、開示業務コストや煩雑さを軽減してくれるソフトウェアは、心強い存在となります。
このような規制がある以上、企業にとって重要なのは、GHG排出量の算定・報告業務を財務会計業務と同等に扱い、自信を持って取り組むことです。企業や金融機関は、テクノロジーを導入することで、開示報告業務にかかるコストと時間を節約し、なおかつ、報告内容に対する信頼性を高め、データ管理体制も強固なものにできます。そのような体制を作れた組織は、投資家からの信頼を獲得し、訴訟リスク低減を実現することになるでしょう。
- ソフトウェアを利用することは、マニュアル作業と比べて確実性が高く、一貫性に優れており、コストもさほどかかりません。
- ソフトウェアを活用すれば、GHG排出量の算定・報告作業に伴う従来の複雑な行程を簡素化できます。また、企業の経営層や投資家に対する報告の精度を高め、彼らがより効果的にデータを活用できるようになります。
- 監査を前提としたソフトウェアであれば、GHG排出量の算定・報告行程も、排出量の元となる活動データもすべて履歴が残ります。よって、報告作業に伴う監査・認証作業をスムースに進めることができ、関連コストも抑えることができます。
- トムソン・ロイター社は企業に対して、金融系テクノロジー(フィンテックやレグテックなど)への期待に関する調査を行いました。その結果、企業の期待度が高いのは、効率改善、意思決定における透明性の向上、そしてコスト削減という3つの項目でした。これら3つのメリットは、パーセフォニの気候管理・炭素会計プラットフォーム(CMAP)の導入でも実感していただくことが可能です。
導入コストを上回るメリット
企業の情報開示に関する調査によると、コンプライス違反や誤解を招く開示を行った場合にかかる潜在的なコストは、コンプライアンス遵守のコストをはるかに上回ることが分かっています。信頼できるソフトウェアを活用して、そのようなリスクを軽減しましょう。
多くの企業にとってSEC規制への対応は待ったなしであり、その他にも、カリフォルニア州やEUをはじめとする国・地域で導入予定の新規制にも遵守が迫られます。企業は、これまで以上に適切かつ厳格なGHG排出量の算定・報告業務を行っていく必要があります。企業・金融機関は、情報開示とコンプライアンス遵守を円滑に進めるテクノロジーソリューションの導入を検討する時期にきています。
- コンプライアンス違反を犯した場合、コンプライアンス遵守のコストをはるかに上回る負担がのしかかる恐れがあります。例えば、2021年1月、トヨタは販売車両のテールパイプ排出量について虚偽の報告を行ったとして、1億8,000万ドル(約260億円)の罰金を科せられました。
- 2021年には、一般データ保護規則(GDPR)違反でアマゾンに7億4,600万ユーロ(約1,170億円)、WhatsAppに2億2,500万ユーロ(約350億円)の罰金が科せられました。
- 一方、一般データ保護規則(GDPR)遵守に積極的な企業には大きなメリットがもたらされています。多くの企業は、プライバシー保護へ注力することで、ビジネス上の大きなメリットを得ています。Cisco社が2020年に実施した調査に回答した企業のうち、40%以上が、プライバシー保護に費やしたコストの2倍以上に相当する利益を得ていると回答しています。プライバシー保護業務に1ドル投資するたびに、企業は平均して2.70ドルの利益を得ている計算になります。調査対象となった全企業を平均すると、利益推定額は270万ドル(約3億9,000万円)に上ります。
企業の気候関連戦略における変化
現在、企業にとって、自社の気候関連戦略が意味することが大きく変わってきています。そして、この移行期には多くのチャンスが潜んでいます。
- 米調査会社フォレスターがTEI(Total Economic Impact/総合的経済効果)手法を用いて実施した調査によると、企業のサステナビリティプログラムの5年間のROIは33%で、コンプライアンス関連の利益だけでも5年間で37万ドル(約5,300万円)に上るという結果が出ています。同社は「調査結果は、3年目以降のリスク調整後の保守的な年間コンプライアンス関連利益を18万ドル(約2,600万円)と試算しています。5年間では約37万ドル(約5,300万円)の現在価値となります」とコメントしています。 テクノロジーコンサルタントのリーディングカンパニーであるフォレスター社は、TEI手法を用いてサステナビリティ戦略のROIを測定しています。同社はまた「サステナビリティは、”最適化”と”イノベーション”の同義語といえます。多くの場合、企業の最適化は、サステナビリティに取り組んだ結果として起こり、それは間違いなくビジネスの価値向上をもたらします。企業がサステナビリティに注力することで得られるリターンは、内部・外部の両方からもたらされます」とコメントしています。
- ニューヨーク大学スターン センター・フォー・サステナブル・ビジネスが実施したメタ研究で、ESG指標と、株価パフォーマンス、業務効率、資本コスト削減との間には正の相関関係があることが明らかになりました。この研究の対象となったのは、2015年から2020年の間に発表された1,000以上の研究論文です。
企業の気候関連情報開示に関するコストと利益について詳細をお知りになりたい方は、パーセフォニ サステナビリティ・アドバイザリーボードのメンバーであるロバート・エクルズが『Forbes』誌に寄稿した記事をご参照ください。
パーセフォニが選ばれる理由
パーセフォニのプラットフォームを利用すれば、スコープ1、2、3のGHG排出量を正しく算定し、自社のGHG総排出量インベントリを完成させることができます。プラットフォームの最大の特長は、GHGプロトコル(SECが参照している炭素会計基準)に準拠して構築されている点です。また、すべての算定データは、監査や保証審査を前提としたデータ台帳に記録され、透明性を担保しています。
パーセフォニは、ワーキヴァ社、ベイン・アンド・カンパニー、CGI社といった各分野のリーダー企業とパートナーシップを結んでいます。また、業界を代表する世界的エキスパートで構成されるパーセフォニ サステナビリティ・アドバイザリーボード(SAB)を擁しています。世界の規制当局や投資家からの要望に対応するためのソリューションやアドバイスを必要としているお客様企業に対して、パーセフォニが適切なサポートができるのは、パートナー企業やSABメンバーの知見のお陰でもあります。例えば、SEC財務報告用ソフトウェアプラットフォーム市場をリードするワーキヴァ社との連携により、お客様は、単一のクラウドソリューション上でSECへの開示報告を一元管理できるようになりました。これにより、お客様はGHG排出量開示と財務情報開示を同時に単一の報告として処理することができるのです。
GHG排出量の算定・報告を開始することは、シンプルで手間もかからないと考えている企業もあるようです。しかし、実際は、この業務に初めて取り組む企業にとっては負担が大きく、時間もかかる行程になりがちです。いつでもお気軽にパーセフォニにお問い合わせください。
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