今回は、株式会社滋賀銀行様にお話を伺い、同銀行が取り組む脱炭素化への挑戦と、サステナビリティを重視した経営戦略について詳しくお聞きしました。特に、ファイナンスドエミッション(投融資先の温室効果ガス排出量)の算定における課題や、GHGプロトコルやPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に準拠したシステム導入の経緯、そしてその効果についてご紹介いただきました。さらに、サステナビリティ活動の変遷や地域金融機関としての役割についても伺っています。
株式会社滋賀銀行
総合企画部 サステナブル戦略室 サステナブル推進グループ長 宇佐見 剛氏
2022年4月より滋賀銀行に入行。同年10月から現職に就任し、サステナビリティ戦略の企画立案やファイナンスドエミッションの算定、責任銀行原則(PRB)にかかるインパクト評価を担当。前職ではESGファイナンスのアナリストとして活動していた経験を持つ。
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導入経緯
- 国際的な温室効果ガス排出算定基準であるGHGプロトコルや PCAF (Partnership for Carbon Accounting Financials)に対して厳密に準拠する炭素会計システムの活用のため導入を決意。
- パーセフォニのシステムを用い、ファイナンスド・エミッション(投融資先の温室効果ガス排出量)の一元算 定を行うため。
- 第三者保証を取得するためには、温室効果ガス排出量をスピーティかつ一定の継続性を持って計測する必 要があった。
- 業務の属人化を避けるためにシステムの導入の必要性を感じていた。
導入ソリューション
Persefoni Finance Full Portfolio
PCAFに準拠しスコープ3カテゴリ15 (ファイナンスドエミッション)の算定、可視化、分析が可能なライセンス
導入効果
- データの計測がスピーディになり、情報を早く開示できるようになったことで信用性やリアリティが高まっている。
- 投融資機関として、温室効果ガス排出量の算定作業を大幅に効率化することができた。
- これまでは自社のデータベースをメンテナンスやカスタマイズをしていたが、手間がかかっていた。しかし、システムを導入することで前述のようなことはなくなった。
- 温室効果ガス排出量を計測することに注力しなくてすむようになり、排出量の削減計画を考える余裕が生まれた。
- 属人化作業の解消ができつつあり、本来やるべき顧客への支援業務に時間と労力を捧げることができている。
- 透明性のある温室効果ガス排出量データを算定でき、第三者保証の取得が効率化できた。
お客様の声
「GHG排出量を計算するという行為は誰でもできます。しかし私たちは作業をすることが任務ではありませ ん。ただデータベースを作っても意味がないのです。その結果を機動的に使うことができるかが重要です。 さらには、計算手法にもこだわりたいところ。第三者保証を受けるほどの緻密な計算方法を用いるシステム を利用することは、自分たちの信用力を高めることにもつながります」
株式会社滋賀銀行 総合企画部 サステナブル戦略室サステナブル推進グループ長
宇佐見 剛 氏
2022年4月より滋賀銀行に入行。同年10月より総合企画部サステナブル戦略室サステナブル推進Gに配属。 滋賀銀行のサステナビリティ戦略の企画立案を行うとともに、ファイナンスドエミッションの算定、責任銀行 原則にかかるインパクト評価を担当。前職は、格付投資情報センター(R&I)で証券化アナリストを経験した 後、ESGファイナンスのアナリストとして在籍していた。
滋賀銀行様のサスティナビリティ活動の変遷
サステナビリティに関わる活動を、1990年代から取り組み始めている滋賀銀行。時代の潮流よりも早いスター トだった。当時の頭取である高田氏は「21世紀は平和と環境の時代」と掲げ、企業としてこの2点を重視した活 動を目指していくことになる。以降、今日までに渡り、いくどと中期計画をアップデートして取り組んでいる。 2019年には対外的に「Sustainability Design Company」と掲げて一層脱炭素活動に力を入れている。サステ ナビリティを取り入れた金融商品も積極的に展開しており、2020年には地方銀行初のサステナビリティ・リン ク・ローンの取り扱いを開始し、グリーンローンやポジティブインパクトファイナンス、当行独自のサステナビリ ティファイナンスへ拡大を続けている。
推進における課題
- 温室効果ガスの排出量はこれまで自社ツールにて算定をしてきた。とはいえ、融資ポートフォリオの算定にな ると、インハウスで作業するのには非常に手間がかかると感じていた。
- TCFDへの賛同表明や、責任銀行原則(PRB)への署名を行ったことで、国際的な排出算定基準であるGHGプ ロトコルやPCAFに厳密に準拠する必要性を感じていた。
- 計測作業はスピーディに行いアウトプットをしないと、ただのデータベースにしかならない。なるべくタイムラ グを作らずにインパクトの計測ができないと、削減計画を推進するためにも意味がないと感じていた。
滋賀銀行について
滋賀銀行は、滋賀県大津市に本店を置く地方銀行です。百卅 三銀行と八幡銀行が対等合併し、1933年10月に現在の滋賀 銀行を設立します。以降、蒲生銀行、湖北銀行、柏原銀行を 買収、滋賀貯蓄銀行や近江信託株式会社を合併し、滋賀県 下 に 本 店 を 置 く 唯 一 の 地 方 銀 行 と な り ま し た 。早 く か ら 環 境 経営に取り組み、2017年には地方銀行で初となるSDGs宣 言を実施。また2018年7月にはTCFDへ賛同を表明、2020 年2月には地方銀行で初めて責任銀行原則(PRB)にも署名 しました。創立90年を超えて、現在「Sustainability Design Company」として、ESGファイナンスへの取り組みを通じ、サ ステナブルな社会の構築に向け取り組んでいます。