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CDP報告とは:企業が取り組むべき理由を解説

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Article Overview

今、世界中で脱炭素化が叫ばれています。

各地で発生している異常気象が、政治を動かし始めました。多くの企業は、GHG排出量削減目標を掲げ、それに向けてビジネスのあり方も大きく変わろうとしています。

いまや世界全体のGDPの90%に相当する国が、2050年までのネットゼロ達成を公約しています。欧州連合(EU)は大規模な炭素税の導入を決め、米国は2022年成立の歳出・歳入法で気候変動対策に3700億ドルを割り当てています。  

この世界的な脱炭素の流れに応じるため、企業や金融機関は準備と対応を求められています。どのようにGHG排出量を減らし、どのように気候リスクを軽減しているのか、投資家や顧客の要望に応じて詳しく説明しなければならないのです。

企業や金融機関が、こうした世の動きに後れを取らないための特に重要な取り組みの一つが、国際的なサステナビリティ報告システムを運営する非営利団体「CDP」への報告です。本記事では、CDPを通じた情報開示がなぜ重要なのか、理由を説明したのち、報告作成の利点や難しさ、業界標準を取り上げます。

CDP報告とは?

CDPは「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」という名前で発足した、サステナビリティ報告システムの運営団体です。投資家(金融機関)、企業、政府が行う環境関連データ開示の支援を主な業務としています。

2023年には、世界最大級の企業を含む約23,000以上の企業がCDPに報告書を提出しました。 CDPが保有する企業のGHG排出量やその他環境データは、数多くのステークホルダーにとって信頼のおける情報源として認知されています。

CDPは、二人の共同創設者、ポール・ディキンソンとテッサ・テナントによって2000年に創設されました。主な創設目的は、企業の情報開示を望む投資家を支援することでした。ポール・ディキンソンはその後、パーセフォニの諮問組織「サステナビリティ・アドバイザリーボード(SAB)」の創設メンバーにも任命されました。

企業に環境データの開示を求める顧客や投資家は、CDPを通じて正式に企業に対してデータ要求を行うことができます。CDPは気候変動、森林破壊、水の安全保障の3つの分野でオンライン質問書を用意しており、企業はそれに回答する形で要求に応じることができます。CDPは回答済の質問書を審査し、回答企業が人や地球に与える影響や、回答の網羅性・透明性に基づき「A」から「D」までのスコアをつけます。審査結果は、回答を要請したステークホルダーのほか、回答企業にも公開されます。回答企業に公開される理由は、審査結果の検討をきっかけに、自社が責任を持つべき環境的影響を改善する機会を見つけてもらうためです。

企業はCDP報告を始めるのに、CDPからの回答要求を待つ必要はありません。投資家や消費者に自社の環境情報を発信する取り組みとして、自主的にCDPへの開示を行うことももちろん可能です。

世界が低炭素経済に移行するなかで、CDP報告は一つのグローバル基準になりつつあります。2022年、CDPを通じて気候関連情報を開示した企業は前年から42%増加しました。この傾向は今後も続く見通しです。また、企業に対するCDP報告の義務付けも、世界、国、州・都道府県の各当局が主導する形で進んでいます。

cdp graph with number of disclosing companies since 2003

——開示企業は2003年から毎年増加(出典:CDP公式ウェブサイト - 開示状況ページ

自社のGHG排出量を排出源別に詳しくインベントリ(目録)化することは、投資家の要請に応じ、今後義務化される様々な規制を遵守するための準備になります。インベントリの作成は、開示報告の目的だけでなく、排出削減にも役立ちますし、気候対策で他社を後追いするのではなく、他社に先んじるうえでも有効な手段となり得ます。

CDPの枠組みや審査に関する詳細は、パーセフォニの「CDP Beginner’s Guide(CDP初心者ガイド)」をご覧ください。

CDPへの報告が重要な理由

CDPは創設から20年経った今、環境開示報告のグローバル標準になっています。そのことは、サステナビリティ専門のコンサルティング企業ERM社が運営するシンクタンク「サステナビリティ・インスティテュート」の調査結果にも表れています。同シンクタンクが2023年3月に発表したレポートによると、環境・社会・ガバナンス(ESG)評価機関に関するアンケートを企業と投資家に行った結果、両者がCDPを最高級のESG評価機関と認識し、その価値を最大限に評価しました。また報告の質に対する評価でも、CDPは企業への調査で1位、投資家への調査で2位という好成績を収めています。

共同創設者のポール・ディキンソンは、CDPのシステムは米証券取引委員会(SEC)が有する中央データベース「EDGAR(エドガー)」に似ていると言います。「CDPはエドガーと同じく開示した情報を誰でも閲覧できるため、金融市場全体で情報を共有できる」という意味です。

実際、ブルームバーグやSTOXX(ストックス)、ゴールドマンサックスといった金融関連企業は、CDPのプラットフォームを通じて公表されるデータを常に利用しています。

長期的な投資先として適した企業を見きわめたい投資家に対し、CDPのデータは貴重な判断材料となります。また、ポートフォリオの気候リスク管理や、自らのGHG排出量との比較判断材料にもなります。2023年に入ってからも、EUの政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)や、英保険大手アビバ、米資産運用会社ブラックロック、米ニューヨーク州職員退職年金基金(NYSCRF)など、数百の機関投資家がCDPを通じて、投資先に対して情報開示を求めています。

CDPを通じた情報開示の特徴は透明性の高さであり、すべての人に恩恵をもたらすものです。

企業がCDP開示報告を行う副産物としては、報告企業の環境に対する意識を高められること、そして、現実的な環境施策を公約する準備ができる、ということなどが挙げられます。CDPは創設から20年で、揺るぎない影響力を確立しました。再生可能エネルギー導入に関する企業間パートナーシップ「RE100」や、データに裏付けられたGHG排出量削減目標の設定を支援する「科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)」とも、密接に連携しています。

CDPの開示データを活用しているのは投資家だけではありません。その影響は、政府の気候政策立案や、消費者の消費選択にも及んでいます。たとえば、CDPのデータは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のウェブサイト「Global Climate Action Portal(世界気候行動ポータル)」にも掲載されており、各国議員に行動を促す影響力も備えています。  

CDPへの報告は必須?

企業にとってCDPを通じた情報開示は法的義務ではありませんが、取り組むことが得策です。

報告をしないことで、損失を被ることもありえます。投資家からの環境データの開示要求に応じない企業にCDPは「F」のスコアをつけます。「F」は、求められた情報を「提供しなかった(Failed)」ことを示し、その企業の環境面での実績を必ずしも反映していません。CDPは回答が拒まれたことを回答要求元に伝えますし、スコアはCDPのウェブサイトで公開され、誰もがアクセスできる情報となります。

質問書への回答内容を公開するかどうかは、回答元企業が選べます。ただし、仮に回答内容を伏せたとしても、開示要求を受けた企業名とスコアはすべてサイトで公開されます。

CDP報告をする利点

企業・金融機関にとって、CDPを通じた情報開示は、社会的評価を高めたり、開示規制遵守への備えができることなど、いくつか利点があります。CDPに情報を開示することが、ステークホルダーの期待に応え、潜在的なリスクや機会に気づき、サステナビリティ分野の成果を高めることに役立つのです。

特に大きな利点は、気候変動への取り組みを急速にレベルアップさせられることです。情報を開示することで、地球環境の保護に対する真剣さが消費者に発信されます。また、社内やサプライチェーンの中で排出量が特に多い場所、いわゆる「ホットスポット」が報告作業の過程で明らかになるため、自社の気候公約達成に向けた問題解決や継続的な取り組みの大きな助けとなります。

CDPへの報告は、事業運営の面からみても十分に合理的です。理由は以下の通りです。

  1. 測れないものは管理できない
    CDP報告の過程において企業は、成果・実績把握やリスク管理のあり方を必然的に見直すこととなります。脱炭素化に取り組み始めたばかりの企業の場合、CDPの質問書に回答することが直接的に、欠点や機会の発見につながり、GHG排出量の効果的な削減のロードマップが作成できるでしょう。
  2. 投資家の要望に対応
    投資家は、企業におけるサステナビリティの取り組みと財務成果に関連を見出しています。2023年3月時点で、CDPを通じて企業に情報開示を要請している投融資機関は746余りに上り、その資産総額136兆ドルを超えています。投資家らはGHG排出量など企業の環境関連データを求めており、正確な情報の提供元としてCDPを信頼しています。  

投融資元企業と投融資機関(投資家)の関係は、調達先企業と調達元(企業)の関係と同じです。2022年、総額6兆4000億ドルの購買力を有する調達元(企業)280余りが、CDPを通じて数千社に情報開示を要請しました。

  1. グローバルの規制拡大への準備
    近年、企業に環境データの開示を求める規制機関や金融機関が増加しています。彼らは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)で示される開示推奨項目の開示を要求しています。CDPの報告枠組みはTCFDガイドラインなどの情報開示枠組みに準拠しているため、CDP報告作業は将来の規制報告に先手を打つことを意味します。
  2. 情報開示に取り組む企業が急増中
    先述の通り、2022年にCDPに気候関連情報を提出した企業は前年から42%増加しました。この増加の流れは今後も続く見通しです。企業環境情報の情報開示は、今や当たり前の慣習となりつつあります。規制当局や資本市場、消費者は、企業の情報開示を当然のこととして要求しているのです。
  3. ステークホルダーとの関係構築
    CDPへの報告を通じて、投資家や顧客と自社環境データを共有できます。自社の環境への取り組みの期待値を適切にコントロールできます。
  4. コスト削減
    企業の環境情報開示は業務効率向上につながる傾向があります。廃棄物削減や使用エネルギー量削減など、GHG排出総量を減らす取り組みは、多くの場合、結果的に事業のコスト削減にもつながります。
  5. 社会的評価と競争優位性の向上
    CDPへの情報開示により、自社のサステナビリティ課題や、事業透明性の向上などに対して、真剣に取り組んでいることがアピールできます。また、報告データを通じた同業他社との比較も可能になり、有効なGHG排出量削減策を講じることで、脱炭素の文脈で優位性を確保できます。

CDP報告の課題

企業にとって、特に初めての回答時など、CDPからの開示要請対応に戸惑う場面もあるでしょう。実際、投資家からの回答要請は増えていますが、一方で、要請に未対応の企業や、ごく一部の情報しか提供していない企業が多く、これらの企業は低いスコアに甘んじています。2021年、全報告企業の中で「C」から「D-」のスコアがついたのは58%に上りました。「C」以下のスコアは、該当企業の環境影響認識が初期段階にあることを意味します。

いまや気候危機は世界的に差し迫った課題となり、企業や金融機関は、この問題に対してより真摯な取り組みが求められるようになっています。CDP報告作業は決して簡単ではありませんが、時間と労力をかけるだけの価値があります。ディキンソンは「企業は気候対策において、率先してリーダーシップをとっていく必要があります。その波に乗り遅れないでください」と語っています。

企業が気候対策への取り組みを軽視すれば、評判リスクだけではなく、重大な財務リスクも抱えることになります。CDPによると、世界の時価総額上位215社が見積もっている気候変動の事業リスクの総額は約1兆ドルに上ります。一方、気候変動がもたらす好機については、225社の合計で2兆1000億ドルと見積もられています。CDPの最高スコアである「Aリスト」に名前を連ねる企業の2021年までの10年間の業績を見てみると、市場の標準を年5.8%上回っていることがわかりました。これは、企業の環境情報に関する透明性と、財務面での成功との相関関係を表す一つの証拠といえるでしょう。

CDPを通じて質の高い情報開示を行い、気候変動対策のリーダー企業としての地位を確立するには、以下のような課題を克服する必要があります。

  1. データの複雑さ
    炭素会計の分野は変化が早く、規制や基準は急速に進歩しています。一連の基準に対応し、GHG排出量を正確に報告するには、複雑な算定作業が必要となります。さらに、データの収集先は自社の業務範囲を越えてサプライチェーンにも及び、数千カ所に上ることもありえます。特にスコープ3排出量を報告する場合、社外の多くの組織と協力し、データを共有する必要があるため、収集先は膨大な数になるでしょう。
  2. 社内リソースの限界
    気候関連情報の収集と分析には、多大な予算と人手がかかる可能性があります。GHG排出量を手作業で算定する場合、社員は膨大な時間をその作業に割く羽目になるでしょう。例えば、管理職がスプレッドシートを送っては回収し、送っては回収し……の繰り返し作業は主流な方法ですが、このようなマニュアルの方法では正確性を確保し、数値の質を管理することも難しくなります。
  3. ノウハウ不足
    GHG排出量の算定はまだ比較的新しい分野なので、担当チームがデータの収集・報告を円滑に進めるためのノウハウをまだ持っていない例もよく見られます。このような場合たいていは、社内のノウハウ不足を補うため、コストのかかる外注先にコンサルなどの支援を依頼することになります。
  4. 社内ステークホルダーからの支援不足
    CDP報告は複雑で多大なリソースを要するため、社内の支持システムを簡単には構築できないかもしれません。しかし、算定・報告の過程においては方々から協力を得る必要があるため、組織内の連携はきわめて重要です。

上記のような複数の課題は存在しますが、信頼の置ける炭素会計システムを導入することで、CDPから然るべきスコアを得るための基礎を築くことができます。パーセフォニの気候管理・炭素会計プラットフォーム(CMAP)のようなソフトウェアなら、複雑な作業をシンプルに処理することが可能になります。例えば、社内だけでなく、幅広くサプライチェーンとのデータ共有にも対応しており、作業の劇的な合理化を進められます。炭素会計作業の合理化は報告業務に対する自信を生み出し、その結果、社内での円滑な報告業務の確立につながります。

CDP報告への準備

気候関連データの収集・管理には時間がかかります。CDPは報告企業に対し、締め切りまで十分な余裕を持って報告作業を始めるよう呼びかけています。

CDPの推計によると、企業が報告に要する平均的な期間は簡易版で1年から1年半、完全版で2〜3年です。

CDP報告の準備を進める上で重要となりえる事項をご紹介します:

  1. CDP開示の要点:自社業種や気候変動、水の安全保障、森林プログラ ムに関連する特定のCDP質問票に精通することが大切。 CDP提供の採点方法・ガイダンス文書を確認。
  2. 早めに実行計画を立てる: 報告期限から余裕をもって、詳細なタイムラインと戦略を作成する。 CDP報告プロセスを円滑かつ期限前に完了するための主要なマイルストーン、責任、および期限を把握する。 綿密に練られた計画は、タスクを効率的に管理し、土壇場での慌ただしさを軽減。
  3. データ収集のため部門横断チームを編成: このチームには、サステナビリティ、財務、オペレーション、サプライチェーン、その他関連分野の代表者を含める。 多様なチーム間のコラボレーションにより、包括的なデータ収集と異なる視点からの洞察を確保。
  4. 方針と行動を文書化する: 炭素会計および報告プロセスを明確に文書化することは、すべてのステークホルダーの信頼性を高める。

ソフトウェアとテクノロジーの活用: テクノロジーを導入することで、CDP報告プロセスを簡素化し、データの正確性と透明性を高める。

2023年度 CDP報告スケジュール

CDP年次アンケートへの回答提出期限は、年によって異なる場合があります。企業は、CDPのウェブサイトを定期的にチェックし、その年の最新の報告スケジュールを確認することをお勧めします。

2024年については、企業が開示書類を提出するための回答窓口は2024年6月初旬から9月までとなります。 ちなみにCDPは、2024年以降、ISSB気候情報開示基準[S2]を開示システムに組み込むと発表しています。

CDP報告の業界標準

CDPに初めて報告する企業であれ、スコアの改善に取り組む企業であれ、詳細な報告計画をつくり、社内の支援体制を構築し、炭素会計ツールに投資することで、高スコア獲得への道筋をつけることができます。

高スコアを獲得する有効な方法の一つは、スコープ3、つまりサプライチェーンからの排出量を含めた報告を行う事です。自社のGHG排出総量の中でスコープ3排出量の占める割合が高くなる傾向があります。スコープ3と直接排出(スコープ1)の違いを報告企業のデータを元に平均すると、スコープ3の方が11.4倍多くなっているのが判明しました。

CDPはスコープ3の排出管理を企業に促すため、「CDPサプライチェーン」と銘打ったプログラムを開始しています。サプライチェーンの排出状況の改善を目指し、サステナビリティ分野のリーダー企業280社余りと連携しています。たとえば、先述の「Aリスト」に掲載されている英製薬大手アストラゼネカ社もプログラムに参加しています。同社はバリューチェーン全体のGHG排出量を2030年までに半減(2015年比)させ、2045年には90%の削減(2019年比)につなげる、という高い目標を掲げています。しかし、この目標は一社では達成できません。アストラゼネカ社で本件を担当するジェニー・ペリー氏は「一貫性を保って自社のスコープ3排出量を把握していくには、各サプライヤー企業がCDPに報告する情報が頼りになる」と語っています。

一社が情報を開示することで、当該企業を取り巻くエコシステム全体に変化が起こるケースもあります。取引先企業から要請を受けたサプライヤー1万6462社が、各社の排出量をCDPに報告したという2022年の実績があります。この結果、サプライヤー企業のGHG排出量を7000万トン(二酸化炭素換算)減少することに成功したということです。「CDPサプライチェーン」参加企業の関与により実現した本件では、980万世帯の年間エネルギー消費に相当する排出量を削減したことになります。

GHG排出量の算定・管理・開示については、パーセフォニの「気候変動に関する情報開示スターターガイド」をご参照ください。

米国で新たな規制の施行が迫り、GHG排出量の報告が企業に義務付けられようとしている今、CDPを通じた情報開示に備えることは以前にも増して合理的になっています。以下のような業界標準を実践すれば、正確性の高い算定・報告ができ、高スコアも得やすくなるでしょう。

  • サステナビリティ文化の構築
    正確な報告ができるかどうかは、データ収集に関する部署間の協力体制の構築にかかっています。報告作業を進めるのに、社内の支持を得ることは極めて重要です。CDP報告が、1. 事業利益を高める、2. 規制遵守への備えに役立つ、という事実を示すことで、ステークホルダーの協力を促すことができるでしょう。
  • リスクを機会に変える
    CDPから高スコアを獲得するにも、低炭素経済への移行の過程で利益を得るにも、まずはしっかりした気候行動計画の作成が求められます。行動計画は言い換えれば、気候関連のリスク・機会を長期的に管理するための明確な戦略です。行動計画に含めることを推奨する項目としては、取締役会レベルの視点、シナリオ分析、財務計画、政策提言が挙げられます。
  • 排出量の多いサプライヤーを特定
    サプライチェーン全体の排出量(スコープ3)を分析した際、一般的に、サプライチェーン内全企業の20%の企業が、スコープ3総排出量の80%前後を占めていることが分かっています。自社のスコープ3排出量を迅速に軽減するには、まずは最も排出量の多い企業に焦点を当てることが得策となります。そうすることで、自社の脱炭素化をより効率的に推進できます。
  • 明確で測定可能な目標を設定
    CDPの質問書には、できるだけ具体的に記入することが求められています。回答の内容によって、その企業がどれくらい気候施策に対して真剣に向き合っているのかが判断できます。測定可能で現実的な目標を定めるには、最新のデータを利用し、科学的根拠に基づく数値目標設定が必要です。CDPは一部の企業に向けて短縮版の質問書を用意し、別枠のスコア方式も設けていますが、状況が許す限り、包括的な質問書を使って回答することをディキンソンは勧めています
  • 適切なツールに投資
    GHG排出量を算定し、継続的に管理する作業において、適切なテクノロジーの導入が推奨されています。初期投資費はかかりますが、長期的には時間とコストの節約につながるからです。優れた炭素会計ソフトウェアを利用することで、自社スタッフの作業時間を節約し、また、コンサルタントへの依存を軽減できます。データの取り扱いや算定過程で起こりがちな人的ミスも減らせるため、品質管理にかけるリソースも削減可能です。

CDP報告におけるテクノロジーの役割

これまで四半世紀近く気候情報開示に携わってきたディキンソンが、今、強く懸念していることがあります。それは、企業がGHG排出量把握をする際、必ずしも適切なツールを使っていないということです。

ディキンソンは「Excelのスプレッドシートでは、世界が今直面している巨大な問題には対処できません。21世紀には21世紀のやり方があるのです」と語っています。

現在、CDP報告をするために、多くの企業が高額の料金を払ってコンサルタントを雇っています。しかし、ディキンソンはコンサルタントに頼る問題点として、サステナビリティの文脈において自社が外部組織に依存し過ぎてしまうことや、広い範囲からデータが集めにくくなる場合があること、そして、データを理解できる社員が社内で育っていかない、ということを挙げています。

ディキンソンは「コンサルタントはある意味で、自社の気候対策推進を阻む存在だとも言えるのです。そうではなく、企業はもっと自主的に気候問題やサステナビリティ問題に積極的になり、そのための能力を組織内に構築すべきです」と指摘します。

パーセフォニが提供する「気候管理・炭素会計プラットフォーム(CMAP)」など、信頼の置ける炭素会計ツールを利用してCDP報告を行う利点は以下の通りです。

  • 排出量の算定・報告がより正確に
    炭素会計には、1. 収集範囲の決定、2. 収集すべき事業活動データの特定、3. 実際の収集、といった段階があります。炭素会計ソフトウェアを利用することで一連の作業が合理化でき、誰でも作業が行えるようになります。パーセフォニのプラットフォームは監査にも対応しており、高い正確性と信頼性を担保したGHG排出量報告が可能になります。また、気候対策専門家チームがお客様の炭素会計プロセスを適切に導きます。
  • 高い透明性と一貫性
    さまざまな出所のデータを収集・算定・管理してGHG排出量をインベントリ化できるので、自社排出量の全体像を容易に把握できます。また、自社で把握するだけでなく、必要なデータを出力し、ステークホルダーと共有することも可能です。  
  • 手作業によるミスを最小限に
    ソフトウェアを利用してデータの取り扱いを合理化することで、作業時間を短縮できるだけでなく、間違いも減少します。パーセフォニのソフトウェアは監査を前提として構築されています。厳しい監査や保証審査にも安心して臨むことが可能です。
  • 「信頼できる唯一の情報源(SSOT)」を提供
    クラウドベースのソフトウェアなら、ステークホルダーの数や場所に関わらず、どこからでも信頼のおける同一のデータにアクセスできます。担当者同士の意思疎通がスムースになり、意思決定能力の向上も望めるでしょう。パーセフォニのプラットフォームは、組織が自立して炭素会計を実行できるよう後押しします。
  • 国際基準に準拠
    パーセフォニのプラットフォームにおけるGHG排出量算定はすべて、炭素会計の国際基準「GHGプロトコル」に準拠しているので、CDP報告の枠組みにも合致しています。

世界が低炭素経済への移行を急ぐなか、CDPを通じた環境情報開示を期待する投資家や消費者が増えています。CDP報告で高いスコアを獲得するには、自社・サプライチェーンの正確で詳細なGHG排出量を算定・報告する必要があります。

適切な炭素会計ソフトウェアを使えば、データ収集や報告作成にかかる時間と手間を大幅に短縮できます。また、組織内の報告工程の構築を促し、排出削減目標達成に向けた進歩を加速することも可能です。

企業は、情報開示要請への回答であれ、自主的な情報開示であれ、CDP報告を適切に実施することで、自社の気候変動への取り組みを対外的にアピールできます。そしてそれは、サステナビリティのリーダー企業と認知されるための重要な一歩にもなるのです。  

パーセフォニの炭素会計ソフトウェアについては、こちらのページでご確認ください。CDP報告にも活用いただけます。

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