『気候テック』今注目すべき5つの重要トピック【テッククランチ・クライメート2022より】
去る6月14日、米バークレーのカリフォルニア大学で
『テッククランチ・クライメート2022』開催されました。
TC Sessions:Climate2022(気候変動をトピックとした基調講演)では、ビル・ゲイツ氏や、キャロル・M・ブラウナーEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)前長官などのビッグネームとともに、パーセフォニのCEOケンタロウ・カワモリも登壇者に名を連ね、再生可能エネルギーや企業の社会的責任、廃棄物管理などの分野における気候テックの役割について講演を行いました。
今回の記事は、本イベントから今注目すべき5つの重要トピックを厳選して、
パーセフォニ・ブログ読者のみなさまにお伝えします。
1. クリーンエネルギー分野の投資(ROI)には忍耐が必要
ビル・ゲイツ氏が率いるプログラム『ブレイクスルー・エナジー』は、低炭素経済の実現を事業テーマとしているスタートアップ企業に対して投資を行っています。
その中でも特に、失敗のリスクが高く、ROI期間が長い(最大20年)企業(VCの一般的なROI期間は5年)を対象としています。
業務分野としては、次世代再生可能エネルギー開発や、温室効果ガス削減テクノロジーといった、低炭素経済への移行に不可欠な技術革新となります。
低炭素経済への移行にキーとなる技術であるにも関わらず、高リスクであり、長い時間枠も必要であるため、資金調達がままならない企業を援助するのが『ブレイクスルー・エナジー』の主な目的です。
ビル・ゲイツ氏は講演の中で、
「気候危機を回避するため、革新的なイノベーションが必要とされています。それを実現するためには、業界の大きな変化と、莫大な資本が必要になります。これほど抜本的なイノベーションが、短期間の間に求められている事は、歴史的にもなかったことです」
と語っています。
2. 電力のグリーン化と規模拡大を同時に進めなければならない
世界経済の原動力がエネルギーであることは事実です。
エネルギーの種類は、太陽であれ絶滅した恐竜(または、化石燃料とも言います)であれ関係ありません。
安定した経済成長を今後も維持するためには、化石燃料への依存を減らすと同時に、他のエネルギー源を確保する必要があります。
この事を考えていく上で、一つ大切なことを考慮しなければいけません。
それは、輸送・交通や冷暖房など、エネルギーの電力化が進む一方で、世界的な人口増加も進んでおり、それはつまり、エネルギー需要の益々の高まりを指します。言い換えると、今後、世界的に見て今の約3倍もの電力需要が見込まれており、しかもその電力は、信頼性が高く、低価格である必要があるのです。
3. 再生可能エネルギー開発を優先し、環境面で妥協することは、本末転倒になりかねない
太陽光や風力による発電と、化石燃料による発電、この二つを比べた際、発電プロセスが生み出す二酸化炭素の量は、前者の方がはるかに大きくなることは、考慮すべき事実となります。
さらに、発電に必要な面積を比べた際も、前者の方が後者に比べて、100倍から1,000倍もの広さが必要になります。
一方、原子力などのクリーンエネルギーの運転に必要な面積は、風力や太陽光に比べてかなり小さくすみ、しかも二酸化炭素も発生しません。
とにかく、どのようなエネルギー源を選ぶにせよ、忘れてならない第一の事は、
天然の二酸化炭素吸収源や生態系の保全と発展の重要性であり、究極的にはそのような自然環境こそが、我々が守るべきものであるということです。
現在、脱炭素経済への移行に必要なインフラ構築が米国や世界中で行われ、土地利用に対する考え方が根本的に変化しつつありますが、最終的に未来に何を残すのか、という視点がとても大切になってくることは言うまでもありません。
4. 「企業=善良な市民」?良き投資先としての企業の条件とは?
ノーベル経済学受賞者である米経済学者ミルトン・フリードマン氏は、1970年代に次のような言葉を残しています、
「企業の最大の責任は、株主を満足させることである」。
実は、ブラックロック社のCEOであるラリー・フィンク氏もここ数年、折に触れ同じメッセージを発信し続けています。
曰く、企業は、株主、従業員、顧客などすべてのステークホルダーの利益に貢献しなければならない。そして、ステークホルダーの中には、地域社会や、(事業を行う場所としての)地球も入っていることを忘れてはならない、と。
フィンク氏は、”ステークホルダー資本主義”と資本主義はイコールであると考えているのです。
パーセフォニのCEOケンタロウ・カワモリは、この点についてパネル講演の中で自身の見解を以下のように述べました。
「コストを重視する市場原理のメカニズムが、サステナビリティに対しても同様に働けば、”企業=善良な市民”という図式は自然に成り立つでしょう。そして企業がサステナビリティを重視すればするほど、投資先としての企業の価値も右肩上がりになるでしょう」
5. ”気候テック”の可能性は無限大
今回の『テッククランチ・クライメート』では、”Extreme Tech Challenge”と名付けられたコンペが開催されました。ベンチャー企業が、気候テックのカテゴリーごとにファイナリストの座を競い合うコンペです。(カテゴリー例:クリーンエネルギー技術、モビリティ、フィンテックなど)
PwCが発表した「State of Climate Tech 2021(2021年気候テックの現状)」によると、現在、これまで例のないような歴史的な金額が気候テック分野に投入されています。その割合は、VC(ベンチャーキャピタル)の14%(1ドル中14セント)にも登るとのこと。しかしもしかしたらその額は驚くほどではないかもしれません。
その理由は、PwCが詳細も説明をしていますが、気候テックの分野は非常に多岐にわたるからです。なるほど、『テッククランチ』のコンペ参加企業のジャンルも、輸送・交通、食料、農業、気候管理、会計ソフトなど、その多様性を反映していました。
気候テック・イノベーションへの投資額が前例にないほど増加し続ける中、今後、多種多様な企業や技術分野のワクワクするようなコラボレーションが次々と起こってくるに違いありません。彼らは(パーセフォニもその一員ですが)、気候変動問題や、サステナビリティ問題に対して、想像力に溢れた解決策を示してくれる事でしょう。
さて、『テッククランチ・クライメート2022』からのパーセフォニのレポートはいかがでしたでしょうか?お楽しみいただけたとすると幸いです。
あなたがもし、気候管理・炭素会計の分野にご興味があれば、パーセフォニにお問い合わせください。また、無料デモのお申し込みや無料ニュースレターのご購読も随時承っています。
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パーセフォニは、気候変動管理・会計プラットフォーム(CMAP)のリーディングカンパニーです。当社のSaaS型ソリューションを利用することにより、企業や金融機関は、ステークホルダーや規制当局が求める気候変動に関する情報開示業務を、高い信頼性、透明性、利便性をもって行うことができます。パーセフォニのプラットフォームは、「炭素分野のERP」ともいえます。炭素管理の一元化を実現し、企業は従来の経理業務と同様の厳密さと信頼性をもって、炭素会計・管理業務を進めることができます。