企業や金融機関が炭素会計(GHG排出量算定・可視化)の工程をスタートさせるとき、確認すべき問題は山のようにあります。

その中で重要な2つを挙げると:

  1. 炭素会計にまつわるさまざまな専門用語(略語)や算出方法(概念)を理解する

  2. 自社(自行)のニーズに最も適した炭素会計ソフトウェアの選出

となります。
これらは、控えめにいっても負担の大きいタスクとなるでしょう。

炭素会計ソフトを導入すればGHG排出量算定・可視化はもちろん、例えばネットゼロ目標の設定や、その管理・進捗状況の把握作業なども簡単に行えるようになります。

しかし、市場に存在する炭素会計ソフトはそれぞれ異なる機能・特徴を持っており、その技術レベルも様々です。

よって、ソフトウェアの導入を検討している企業や金融機関は、提案依頼書(RFP)や情報提供依頼書(RFI)を使って、ソフトウェアベンダーに対し、的確な質問や要求を投げかけることが大切になります。

本記事では、炭素会計ソフトの選定・導入作業をスムースに行うための具体的なポイントをシェアします。この業界のリーディングカンパニーであるパーセフォニにお任せください。

まずは自組織の目的を定義

企業・金融機関が炭素会計ソフトを選定し、炭素会計の工程をスタートさせる際、まずビジネス上の目的を定義することをおすすめします。

  1. 炭素管理や脱炭素化において何を達成したいのか?

  2. 排出削減において業界のトップ企業になることを目指すのか?

  3. 投資家やステークホルダーの要望に応えて”排出量の可視性・数値化”の実現・質の向上に取り組むのか?

  4. 現行の開示規制要件、または今後予想される規制要件への対応が目的なのか?

  5. 自社・自行の気候関連リスクや機会を正しく数値化し、評価しようとしているのか?

上記の質問に自ら答え、目的を理解しましょう。そうすることで、提案依頼書(RFP)の内容も自ずと明確になります。また、自らの状況を知るという意味で、下記のような要素を把握することも必要です。

  • 自社・自行の規模と組織構造(どの範囲の開示報告をするのか)

  • 自社・自行が事業を展開する管轄と、その国・地域で適用または提案されている(気候関連の)開示規制要件

  • 炭素測定や炭素削減目標設定に対するの自社の積極度(グループ会社などとの協調関係等)

さらに、自社・自行が何を達成したいのかを定義し、明文化しておくことも不可欠です。

これらのすべての問いに一つ一つ答え、ドキュメントとしてまとめておけば、自社の優先課題や適切なベンダーの選定に際して、より適切な判断ができるでしょう。

提案依頼書(RFP)を出す前に確認するべき14の事項


自組織が求めていることを定義できたら、次は、ソフトウェアプロバイダー候補に投げかける確認事項です。

1. どの業種をカバーしているか?

温室効果ガス排出量の測定方法は、業種・セクターによって細かくそのやり方が異なります。このため、候補にあがっているベンダーが自組織の属するセクター(または金融機関独特の測定)をサポートしているかを確認する必要があります。

2. スコープ3のどのカテゴリが算出可能か?

スコープ3の排出は企業のバリューチェーンの上流および下流における間接的な排出の範囲となり、通常、企業・金融機関の排出の大部分を占めるエリアになります。炭素会計の国際的な基準であるGHGプロトコルでは、スコープ3排出を15のカテゴリに分類しています。スコープ3の排出量を測定する予定であれば、ベンダーのソフトウェアが自組織に関連するカテゴリの算出に対応しているかどうか、確認することが不可欠です。

3. 必要な算出方法や排出係数は実装されているか?

炭素会計にはセクター固有、または、地域固有の算出方法や排出係数が数多く存在します。このため、導入検討中の炭素会計ソフトに自組織が必要とする算出方法や排出係数が実装されているかを確かめる必要があります。仮に実装されていない場合は、将来的に実装になる予定があるかどうかを確かめてください。

4. 開示報告の際、監査を行える仕様になっているか?

世界的な開示規制標準化の流れを受け、企業・金融機関の温室効果ガス排出量(算出・開示)に対する第三者認証、または監査の要望が高まっています。このため、ベンダーに対し、排出データの監査の方法について質問し、実際の画面を見ながらのデモを依頼するなどをお勧めします。

5. スコープ1, 2 ,3(投融資先の排出量含む)のすべてを同一プラットフォーム上で一元的に算出・可視化・分析する機能は備わっているか?

企業・金融機関の排出には、自社ビルや保有車両からの直接の排出(スコープ1)、調達するエネルギーによる間接的排出(スコープ2)、および投資ポートフォリオなどからの間接的排出(スコープ3)があります。このため、自社が測定しようとしているすべての排出が同一プラットフォーム内で算出可能かどうかを確認することが重要です。

6. ベンダーは金融機関、銀行、ポートフォリオマネージャーとの協業実績があるか? 

金融機関の排出量算定(スコープ3カテゴリ15)には特有の方法が必要となります。その理由は、金融機関が責任を持つ排出の大部分が「投融資先の排出量」由来、つまり、融資や投資、金融サービスから生じる排出であるからです。そして「投融資先の排出量」測定基準として世界的に広く利用されているのが、金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)です。金融機関がソフトウェアを利用して排出量を算出・管理する場合、そのソフトウェアにPCAF基準がコード化されて搭載されているかどうかは大変重要な確認ポイントとなります。

7. 比較機能やポートフォリオ算出機能は搭載されているか?

脱炭素化の進捗状況を測定・分析する際、自組織が属する業種内の、または、地理的な意味での競合他社(同業他社)の排出量状況を把握し、それらと比較して自組織の排出量を評価することがとても有意義です。また、ポートフォリオ全体の炭素排出量を算出できる機能は、(機関)投資家としては必須となります。

8. CDP、Refinitiv、など有益な外部データソースと連携しているか?

アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)や直接のデータフィードによってほかのプラットフォームやデータソースと連携が可能であれば、データ収集にかける時間とコストを大幅に節減できます。それだけでなく、データ誤入力のリスクも減り、炭素データのリアルタイム更新も可能になります。導入を検討しているベンダーに対して、自組織の財務システムやその他の重要データソースとのAPI連携ができるかどうかをを確認することをお勧めします。

9. ソフトウェア(ベンダー)はユーザーの将来的なニーズに対応できるポテンシャルを持っているか?

ソフトウェア(ベンダー)にしっかりしたロードマップがあること。それだけでなく、顧客の要望に素早く対応し、新機能を開発できる体制を持っているかどうかは、ベンダー選定の際の極めて重要な要素となります。新しいソフトウェアに資金を投入するときには、そのソフトウェアそのものの購入はもちろん、将来的な成長・開発や新機能にも投資していることになるからです。

10. カスタム排出係数の作成・アップロードは可能か? Ecoinvent(データベース)は利用できるか?

自社製品またはサービスに適した特殊な排出係数を必要とするユーザーも存在します。この場合、カスタム排出係数を利用して算出が行えるプラットフォームが必要になります。また同じ様に、Ecoinvent(エコインベント)が搭載されているかも確認した方が良いでしょう。Ecoinventは詳細な排出データが蓄積されたデータベースで、Ecoinventと連携しているプラットフォームなら、自社製品およびサービスに適した排出係数を見つけることができるでしょう。

11. ソフトウェアの導入に際して、投資利益率は?

気候関連情報の測定と開示に要するコストは報告1年目でおよそ53万3,000ドル(約7千万円)であるという最近の調査結果があります。しかし、ソフトウェアを利用すれば、このコストを大幅に下げられる可能性があります。炭素会計ソフトウェアを使用した場合に見込まれる節減額と投資利益率の評価方法について、ベンダーに確認することをお勧めします。

12. ベンダーはデータのプライバシーとセキュリティをどのような方法で保証しているか?

ソフトウェアがどのような方法でユーザーデータを不正使用から保護しているのか、把握しておくことは非常に重要です。次のような質問をベンダーに投げかけてみてください。

「プラットフォームはISO 27001のような重要データ保護監査フレームワークに準拠していますか?」
「プラットフォームを使用するユーザーをどうやって認証していますか?」
「データリスクの特定、評価、軽減、管理にどのような方針を導入していますか?」

13. ソフトの導入時や一般的な利用において、どのような顧客サポート体制があるか?

「炭素会計」はまだ一般的な知識や慣習にはなっていません。このため、ソフトウェア購入が丸投げになってしまった場合、ユーザーの投資が報われないばかりか、そもそもの目的であるちゃんとした炭素会計すらままならない可能性があります。ベンダーからのマンパワーのカスタマーサービスを最大限に利用できるかどうか?、このポイントは導入の際に非常に大切です。

  • ベンダーは、これまでの事例を活用してユーザーの正確な炭素排出量測定をサポートできるか?

  • ユーザーは自組織の脱炭素化目標の進捗をベンダーと共に管理できるか?

このような親身なサポートが得られるかどうか、是非確認しておきましょう。

14. プラットフォーム上でのデータアップロード(または削除)に際して、「一括」、「マッピング技術活用」、「外部との連携」などの方法は可能か?

炭素会計は従来、スプレッドシートを使って手作業で行われてきました。自組織が検討している炭素会計ソフトウェアは、既存のスプレッドシートからのデータ入力が容易に行えるでしょうか?また、ほかのビジネスアプリケーション(SAP Concur、NetSuite、Expensify、TripActions、Coupa、SAP Ariba、Amazon Web Servicesなど)とのデータ統合は可能でしょうか?

適切なソリューションの選択

上記1〜14の確認ポイントは、自組織に最適な炭素会計ソフトウェアを選定するための確認事項のほんの一部となります。とはいえ、まずこれら14項目をベンダーに投げかけ回答を得ることは、自組織のニーズに合った炭素会計ソフトウェアを判別する一歩を踏み出したことになるでしょう。

ソフトウェア選定後も、実際の導入までは契約書のやりとりなどを踏まえると、8~12週間を要する可能性がありますので、時間に余裕を持って提案依頼書(RFP)のやりとりを始められることをおすすめします。

変化が早く、まだ発展途上段階にある炭素会計分野において、自組織のビジネスとその他ニーズに応えられるベンダーを選定するためには、提案依頼書(RFP)を通じて得られる情報が非常に重要になるからです。

是非、パーセフォニに提案依頼書(RFP)をご依頼ください。
また、御社・御行の要件に合っているか、画面を見ながら直接ご確認になりたい場合は、こちらからデモをお申し込みいただけます。


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パーセフォニは、気候変動管理・会計プラットフォーム(CMAP)のリーディングカンパニーです。当社のSaaS型ソリューションを利用することにより、企業や金融機関は、ステークホルダーや規制当局が求める気候変動に関する情報開示業務を、高い信頼性、透明性、利便性をもって行うことができます。パーセフォニのプラットフォームは、「炭素分野のERP」ともいえます。炭素管理の一元化を実現し、企業は従来の経理業務と同様の厳密さと信頼性をもって、炭素会計・管理業務を進めることができます。